クローズアップされる「貧困女子」の存在
ここ近年、テレビや雑誌などの主要メディアで「貧困女子」という言葉が多く取り上げられるようになりました。
「貧困女子」とは文字通り日々の生活に困窮した女性のことで、家賃はおろか光熱費や食費すら満足に稼ぐことができず想像を絶するような環境で生活をしていたりします。
年収がどのくらいからかという基準は明確ではありませんが、一般的な目安としては手取り月収から家賃を引いた金額が8万5000円以下であるかということとなっています。
地域差や税金や社会保険料によってまた基準は上下しますが、上記の基準を満たしていない場合には生活水準自体がかなり厳しいと考えてもよいでしょう。
テレビや雑誌などでよく取り上げられる貧困女子は、キャバクラや風俗店のようなところに勤務をして寮に住み込むといった生活をしていることがよくありますが、実際にはそうした水商売ではなく貧困状態にある女性の方が割合的にはかなり高くなります。
貧困女子というと今時の言葉で言うところの「自己責任」であり、真面目に働かないからそういう結果になったというふうに思われてしまうこともありますが、それは正しい見方ではありません。
むしろ真面目でこつこつ仕事をするタイプほど、貧困女子の状態になってしまうこともよくあるというのが今の世相なのです。
日本の賃金格差ランキングは先進諸国でも最低レベル
男女平等や女性の共同参加が各所でうたわれてはいますが、実際のところ雇用の現場における男女の賃金格差は非常に大きいというのが現状です。
国際経済フォーラムでは毎年「ジェンダー・ギャップ・インデックス」という男女格差指数を先進諸国で調査しているのですが、日本は2015年の時点で総合101位とかなり不名誉な結果を出しています。
この数値は男女平等を政治や経済への参加など複数の項目で判断するもので、特に日本においては男女の給与額の格差が大きな問題となっています。
一方で国民全体の識字率といった教育の高さは世界的にも高いレベルとなっているので、教育の現場においてまでは平等である男女が社会に出たとたんに大きな格差に見舞われることになるという姿が浮き彫りになっています。
この賃金格差の大きなもとになっているのは女性の管理職への登用や政治への参加が極端に低いことであるということが調査によってわかっているので、今後どのように政府が政策をとっていくかということが注目されます。
貧困女子になりがちな人とは
とはいえ「貧困女子」という言葉が有名になっている反面で、町中で見かけるホームレスのほとんどが男性ばかりであるように女性の貧困は可視化しにくいということもあります。
これは女性は男性に比べて自分が他人からどのように見られているかということを気にする傾向にあるので、仮にひどい貧困状態にあってもなんとかそれなりに違和感のない服装をしたりといった見た目を偽装する行動をよくとっています。
また要領のよい女性になると自分のお金を使わないようにするため、巧みに男性におごらせたりお金を出してもらったりといった処世術を身に着けていたりします。
ですがいくら見た目を偽装してもやはり貧困女子とされる人には大きな特徴が見られます。
まず大きいのが「家族や友人からの支援を受けることができない」ということです。
通常ひどい貧困状態にある場合には、地域の福祉課に相談に行ったりしてなんとか周囲の助けで自立した生活を取り戻そうとするところですが、なぜか深刻な貧困状態にある女性ほどそうした支援を受けたがらないという特徴があります。
これはそもそもとして支援制度を知らないという場合や、困っていても誰か頼る人がいないというときによくあります。
貧困女子になりやすい人の特長として一つだけを挙げるならずばり「孤独である」ということです。
自分が困ったときには素直に周囲に支援を求め、自立した生活ができる手段を探すようにしてもらいたいところです。