日本のGDPの柱となったサービス業
サービス業はサービスを提供する産業で明確な線引きがあるわけではありませんが、ホテル、広告業、医療保健業、教育などのモノ以外の生産物(サービス)を生産・提供する全ての事業とされており、多くの業種が該当します。
提供の相手先が事業者であるサービス業に、法務や税務、個人であるものに理美容や宿泊・旅行などが挙げられます。
今日の日本の国内総生産の約7割、従業員数の約7割5分を占める経済活動の柱となっている産業です。
2020年に実施される東京オリンピックを前に、「おもてなし」が脚光を集めるように、海外の旅行客に対しての飲食や宿泊サービスなどの接客業に注目が集まっています。
しかし接客業はいわば人と接する局面が多いサービス業の一部に過ぎず、サービス業自体はもっと幅広い業種であることに気を付ける必要があります。
サービスの提供は物質的なモノは提供しないのですが、提供後何も残らないのではなく顧客の満足感が残ることが大切だとされています。
外資系のホテル業界を中心にホスピタリティの重要性が叫ばれ、サービス業に携わるスタッフには、顧客の気持ちに寄り添った感動を与えるサービスが求められるようになってきました。
時代を映し出しやすいサービス業の繁栄
近年では情報関連産業を中心に新たなサービス業が現れ、その成長スピードには目を見張るものがあり、AI(人工知能)を軸として、今後ともすさまじい速度で成長するものと思われます。
サービス業はその時代を反映したものが隆盛を誇る傾向にあり、製造業に派遣従業員の雇用が認められると、派遣会社が発展しました。
また、近年では女性の社会進出を背景に、家事全般を請け負う代行サービス業なども登場し、サービス業の新たな業種の誕生は社会構造の変化の兆しでもあります。
日本のサービス業は生産性が低いとの指摘
サービス業の1人当たりDGPで比較すると、G7の平均の3.8万ドルに対して、日本は2.6万ドルで、G7諸国の中で最下位であるという統計があります。
例に、観光業を取り上げると、寺院等の文化財の入館料の国際比較では、国外の平均の約1900円に対し、日本は600円弱です。
海外では日本の何倍もの修理費用をかけて、良好な保存状態を維持しています。
寺院等の解説も比較にならないほど充実しており、入館料に見合ったサービスを提供しているという指摘があります。
日本の文化遺産自体に見劣りが無くとも、来場者に対するサービスで劣っているという指摘です。
また、ニューヨーク連邦準備銀行の分析では、1995年以降、米国など先進国の業種全体での生産性が高まった原因は、インフォメーションテクノロジー(IT)の発展にあるとしています。
そのITの技術が一番活用された業種はサービス業だと結論付けています。
近年、他の先進国に比べ、日本の生産性が低くなった理由の1つに、日本のサービス業がIT技術を十分に活用できていないということがあげられそうです。