シニアにも期待される労働
超高齢化社会の進展により、元気なシニアにはもっと働いてもらおうという機運が官民ともに高まっています。
人口減少が見込まれる日本では生産年齢人口が減少し続けるため、シニア世代を労働市場は狙っているのです。
ところが実態を見ると、シニア層の求職希望と求人の間ではミスマッチが起きている状況にあります。
求人の多くは若者が付きたがらない体力仕事が多く、仕事を求めるシニア層の立場では希望の仕事が少ないのです。
将来も進む高齢化社会を見据え、シニア層の希望と企業サイドの求人にはどのようなミスマッチが生じているのか、シニア世代の働き方について考えてみましょう。
企業サイドの求人とその年齢の上限の動向
関東を中心に展開するあるスーパーマーケットは、従業員の定年を70歳に設定します。
実際に65才以上の従業員数は1000人以上に達していました。
さらに上を行き75才に設定しているスーパーチェーンも現れています。
日本企業は従来シニア層を積極的に活用しようとする機運はありませんでしたが、近年の人手不足と政権の高齢者活用政策をきっかけに、シニア層活用が一気に現実化したのです。
コスト抑制のターゲットと考える企業サイド
近年、人手不足が続いていることに加え、企業の労務費は上昇を続けているため、シニア世代をパート従業員として雇い入れ、一定額まで働いてもらい社会保険料などの労務コストを下げようという狙いがあります。
こうした企業サイドの狙いはシニア世代にとっても決して悪い話ではなく、身体的負担が少ないパート業務はメリットがあるものです。
ただこうした求人の場合、どうしても現場系の飲食店の洗い場や調理補助などに求人が集中する事になります。
キャリアを生かした仕事を希望するシニア世代
大企業の経理や総務、人事などとして会社人生を送ったシニア世代の方は、その会社人生のキャリアを生かした仕事を希望する方が多いのが実情で、それはある意味では当然の気持ちかもしれません。
あるシニア世代の求人説明会では、参加した企業ブースの中でそういうデスクワークに近い求人はマンション管理業務の1件だけで、シニア層に人気はありました。
このようにシニア層の希望はデスクワークが多いにもかかわらず、企業のニーズは現場系に偏るというミスマッチが生じているのです。
一方、金銭面での過大な期待を持っていないシニア世代は、海外で工場立ち上げなどのキャリアを持っていても、老後は日本に住みたい、責任と期待を背負う職務は避けたいという方も多いです。
培ったキャリアに拘らない姿勢
シニア層の職探しで気を付けたいことは、これまでのキャリアに拘り過ぎない事で、職場異動により様々な部門を経験した総合職の経験は求められない事を知る事だと言います。
55才を過ぎて再就職する場合、多くを望むのは難しく、特にキャリアを活かす事にこだわると、マッチした求人を見つけることは困難です。
過去のプライドは捨て、働く喜びを得られる距離感で、空いた時間で社会のために少しの仕事をするという思いで仕事を探せば、よい仕事に巡り合えるのではないでしょうか。