近年自由化の波が押し寄せる電気・ガス業
電気業・ガス業は近年自由化の波が押し寄せており、従来は比較的安泰の企業の代表格でしたが、今後は企業同士の競争が激しくなるでしょう。
平成28年春には電力の完全自由化が始まり、平成29年春にはガス業について実施されました。
電力業・ガス業には電気・ガス双方を含む多くの会社が参入しており、ガス業・電気業の垣根を超えた競争が予想されています。
電力業界の状況
電気業は、火力・原子力・水力・太陽光・風力など様々な設備で電力を発電し、各住宅や会社などに電気を供給する事業です。
各住宅や会社などに供給する電気事業者は、既存の電力会社も新規参入業者も、既存の電力会社が有する送電網を使って供給していくのです。
従来、地方ごとに電気を作り電線をとおして各家屋・企業や工場に供給する大手電力会社が、少数の自家発電業者を除き独占する状態でした。
しかし、平成28年春の「電力全面自由化」により、これまでの電力会社以外に、新たな異業種の電力会社ともに直接契約ができることになり、さまざまな料金設定が登場し互いに競ってサービスを提供することが期待されます。
戸建てに住んでいなくともマンションで賃貸であっても、ほとんどの場合で電力会社と各世帯が戸別に契約しており、自由化で契約先を変更することが可能です。
新たに参入した事業者は基本的に、電力供給の実績が無いのですが、このような新会社と契約した場合でも、停電が増加したり、会社が倒産して電力供給が不安定になるということはありません。
全ての会社が作る電気は同じ送電網を使って流れていますので、会社やプランで受け取る電気の品質も同じです。
電線や電柱の故障対応は送電会社が全て責任を持って担当しますので、契約した会社ごとに停電修理の対応が異なることもありません。
ガス業界の状況
ガス業とは、家庭や会社に対してガスを供給する事業を言い、従来は地域ごとに、おおむね決められたガス事業者がほぼ独占的に事業を行っていました。
家庭や会社で使われるガスの種類は3つあり、1つ目の都市ガスは道路の地中に施設されたガス導管を通して各家庭にガスを供給するシステムで、全国に200社あると言われています。
2つ目の簡易ガスは一定戸数以上の団地等で、団地に付属するガス発生設備を設置して、各部屋にガスを配るシステムです。
3つ目のプロパンは全国各地に地域密着で存在するLPガス会社が各住宅にLPガスが入れられたボンベをおくことでガスを供給するシステムで、この業者は全国に20,000社が存在すると言われます。
平成29年春から小売りが完全自由化となったのは1つ目の都市ガスで、このことによって地中に施設されたガス管を、新規に参入するガス会社も使うことになります。
例えば、東京地方ではこれまで東京ガスが独占していました。
自由化により新しいガス会社と契約すると、新しいガス会社は現存の東京ガスのガス管を使用してガスを供給する事になります。