農業・林業・漁業の総称
基本的には農業・林業・漁業、3業種ともに食物の生産に従事する業務で、産業分類では第一次産業に区分され、工業化・サービス化が進む前の時代ではメインの産業でした。
人類が生きるためには欠かせない食べ物を生産する産業で、欠かせない仕事ですが、近年の日本では都市に人口が集まるようになり、農林水産業に従事する人口の減少と高齢化が懸念されています。
これに伴い、大豆や小麦など、食料を輸入に頼る作物も増え、食料自給率の低下も懸念されています。
世界では人口の増加が見込まれており、自給率を上げることは日本の抱える喫緊の課題ですが、解決策が見えていないのが現状です。
一方で、日本産の食料は安全でおいしいとの評価から、中国やシンガポールなどの富裕層を中心に人気が高く、高値で販売できることから、輸出に力を入れようという動きも強まっています。
農業について
国内で生産される生産物別に生産額が多い分類から、畜産、野菜、コメ、果実という順番です。
しかし、日本では、従事者数、農業出荷額、耕地面積等が、少しずつ減少を続けています。
2015年の農業従事者は175万人と20年前の約半分になっています。
175万人のうち約65パーセントの113万人は65才以上の高齢者です。
2015年の農業出荷額は、8.4兆円で、20年前の8割に満たない額にとどまります。
日本の人口が減少に転じたのは最近のことですので、生産が減った分は輸入に頼っているということになります。
何とか国内の農業を守り食料自給率を上げるために、就農者を増やすべく、農地を借りる制度を充実したり、農業経営法人に就職したりして、農業を始める若者を支援する動きが急速に各地で進められています。
また、農家の経営を安定化するために、農産物の加工、レストランの併設、さらには農作業の効率化を図るため、農作業にドローンによる薬剤散布等のロボット技術やICT(情報通信技術)を活用するスマート農業の導入が進められています。
林業について
林業は、森の木を伐った後に、苗木を植え、成長を補助するため下草を狩り、太陽がきちんと当たるように間引き(間伐)をして、大きく育った木を収穫する仕事です。
2010年の林業従事者数は30年前の3分の1と減少していますが、若者の比率が上昇している職種でもあります。
林業の果たす役割は大きく2つが考えられ、災害の防止と二酸化炭素の吸収による温暖化防止です。
間伐をして手入れがされた森林は、木が太く大きく成長すると同時に、根もしっかりとハリ、地面にも光が届くため植物が育ち、大雨でも水を多く含み、山崩れを防止する力が強くなります。
また、木は光合成で吸収した二酸化炭素を貯蔵することから、森林時に加え住宅等となっても長期に渡り二酸化炭素を貯蔵します。
漁業について
領土から約370km内の海は、その国が魚介類等の漁業資源を獲ったり海底資源を採掘したりすることが国際的に認められる区域です。
周囲を海に囲まれた日本は、この海洋の広さが、世界6位で豊かな漁業資源を有しています。
2015年の漁業就労者数は、16.7万人でこの数年は横ばいですが、若者の従業者が増えている業種でもあります。